テクニカル分析を始めて学ぶ際に必ずといっていいほど出てくるのが移動平均線ですが、移動平均線には様々な派生形が存在しますし、同じ移動平均線でも設定を変えることでチャートから読み取れることが変わってきます。
これからFXを始める方や新しいインジケーターを使い始める人、あるいは勝てない人がどんな移動平均線を利用すべきなのか、あるいは別のインジケーターを使うべきなのかどうか気になるところでしょう。
そこで今回は移動平均線の種類について見ていきましょう
FXの移動平均線はどれがいい?移動平均線の種類
そもそも移動平均線とは?
移動平均線の種類や設定やらを見る前に、そもそも移動平均線とは何だったのかきちんと復習しておく必要があります。
移動平均線とはトレンド系のインジケーターで、現状のトレンドが上昇トレンドなのか、下落トレンドなのか、あるいは拮抗しているのかを見るインジケーターです。
最も基本的なものが単純移動平均線(Simple Moving Average,SMA)で、その定義は次の通りです。
ある一定期間N日(自分で設定可能)における終値の平均値を表し、それをつなぎ合わせて線状のグラフにしたもの。
移動平均の値は次の通りとなります。
(D1+D2+D3+D4+…+DN)/N
N…自分で設定した期間の日数 DN…N日目の終値
ぶっちゃけどれでもいい。実際勝てる奴はどれを使っても結局勝つから!
移動平均線には本当に沢山の種類が存在しますが、上記の定義をきちんと理解しているのであれば、結局どの移動平均線を使ってもほとんど変わらないということが分かります。
例えば、単純移動平均線(SMA)の次によく使われるであろう指数平滑移動平均線(EMA)の値は次のようにして求められます。
(D1+D2+D3+D4+…+Dn-1+DN×2)/N+1
N…自分で設定した期間の日数 DN…N日目の終値
SMAとの違いは、直近の日の終値のみ2倍にして計算しているということと、2倍にしたため調整が必要になるため割る数を+1しただけです。
直近の日の終値のみ2倍にして計算しているのは、急激な変化など、トレンドの始まりをより早くキャッチするために直近の日の値を重視するために2倍にして計算しているのです。
しかし、結局のところ単純移動平均線と違うのは直近の日の値だけ2倍しているということだけです。
そして他の移動平均線もぶっちゃけほとんど変わりません。
つまり、どれでもいい、というのが本質です。
FXの教科書本などでよくあるのは、移動平均線には単純移動平均線(SMA)、加重移動平均線(WMA)、指数平滑移動平均線(EMA)の3種類があります、とでていてそれぞれのメリットやデメリットがつらつらと書かれています。
しかし、本質的にはそれぞれに大差ありません。
しかも世の中にはこれら以外にもたくさんの移動平均線の派生形が存在していています。
例えば12本の指数平滑移動平均線を同時に表示させるGMMA(Guppy Multi Moving Average)などです。
それぞれについてみていればキリがありません。
これらの無数に存在する派生形の移動平均線と元々存在する単純移動平均線の違いといえば、平均しているものが終値なのかそれ以外の値なのか?、直近の値をより重視して(2倍などにして)計算しているか、複数の移動平均線を用いているのかの違いしかありません。
どれもこれも一定期間の○○(終値やら中央値やら)の平均値を出しているのにすぎないのです。
だからこそ、どの移動平均線を使っても誤差はあるにせよだいたい同じ挙動を示します。
移動平均線を使っていて勝てない人が犯している本質的な過ち
いろんな移動平均線をあさっている人やよりよいインジケーターを使いたいと思っている人、移動平均線を使って勝てない人の考えはだいたいこうです。
本当に勝てるインジケーターさえ使えば勝てる!と。 そうではありません。
インジケーターは所詮道具にすぎません。
どんなに良い道具であっても使い方を誤れば道具の力を100%引き出すことはできませんし、ちょっとうまくいかないからといって道具をコロコロ変えていては、道具の熟練度が上がる前に別の道具に移ってしまいます。
スポーツで例えてみましょう。
ナイキのシューズかプーマのシューズか、アシックスのシューズか、ぶっちゃどれを使ってもそれなりの良いスポーツシューズを買えば性能はほとんど変わらないはずです。
ナイキのスポーツシューズを使っているから、他社のシューズよりも速く走れた…なんてことはないはずです。
仮にあったとしても誤差の範囲内でしょう。
あるいは料理ではどうでしょうか?
一般家庭にある包丁と高級な包丁ではどちらが切れやすいでしょうか?
高級な包丁の方が確かに切れやすいかもしれません。
でも、一般家庭にある包丁であっても料理を作るという目的は達成可能なはずです。
トレードでも同じです。
単純移動平均線であろうが、指数平滑移動平均線であろうがどれを使ってもトレードで勝つという目的は達成可能です。
大切なのは何の道具を使うかよりも、どうやって道具を使うか?道具をつかいこなすか?ではないでしょうか?
そして、勝てるやつはどの移動平均線を使っても結局勝てます。
サッカーが上手い奴がスニーカーで、素人が一流のシューズを履いてサッカーをしたとして、どちらが勝つでしょうか?
スニーカーを履いている元からサッカーが上手い人が勝つに決まってます。
結局トレードが勝てない人はインジケーターがどうのこうのとかいう次元ではないのです。
直球でいうと、トレード技術が下手なのです。
そしてトレード技術が上手い人であれば、結局どのインジケーターを使ったとしても勝ってきます。
インジケーターなどの道具にこだわり始めるべきなのは、ある程度技術がしっかりしてなおかつ今よりさらに良い結果を出すのに必要な、二流ではない人間になってからのお話です。
おすすめできる移動平均線とは?
以上のことが事の本質なわけですが、それでもあえておすすめの移動平均線をあげるとすればもっとも単純でかつ標準的な単純移動平均線(SMA)、あるいは指数平滑移動平均線(EMA)がおすすめです。
単純移動平均線(SMA)がおすすめなのはもっともシンプルな指標だからです。
シンプルであればるほど使いやすく再現性は高まります。
そして使っているユーザーも多いので、他のトレーダーがどのように考えているのかという心理を読み解くのにも適しているといえるでしょう。
次に指数平滑移動平均線(EMA)がおすすめなのは単純に使っている人が多いからです。
単純移動平均線(SMA)との違いは、直近の値を2倍にしただけと、単純移動平均線(SMA)のシンプルさを引き継ぎながらも他のインジケーターにも間接的に採用されることが多いので利用ユーザーが多いのも利点です。
例えば人気のインジケーターの一つのMACD(Moving Average Convergence Divergence,マックディー)は2本の指数平滑移動平均線(EMA)を利用しています。
どちらの移動平均線を使った方が良いのか?
それは先ほども示したように、どちらでもいいです。
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