2020年12月7日 2:41
テクニカル分析は、しばしばファンダメンタルズ派から攻撃を受けることがあります。
テクニカル分析は当たらない、意味がない…と。
しかし、結論から言うとテクニカル分析が意味がない、当たらないとは思いません。
もちろん、テクニカル分析だろうがファンダメンタルズ分析だろうが、あくまでも市場予測にすぎないので当たらないことがあるのは承知のことですが、全く当てにならないオカルトのようなものではないといえます。
そこで、よくあるテクニカル批判にはどんなものがあるのか?その批判は妥当なのか?について見ていきます。
テクニカル分析が当たらないといわれているよくある理由とその反論
ランダムウォーク理論
テクニカル分析批判の最も有名なのがランダムウォーク理論でしょう。
ものすごくざっくり説明すると、上がるか下がるかは予測不可能であり、各々がランダムに動くため決まった法則は無いということです。
決まった法則もないことから、テクニカル分析は不要となります。
ランダムウォーク理論によると、価格の変化はそれぞれ独立したものであると定義されます。
しかしながら、過去のチャートを見てみれば間違いなくトレンドというものが存在します。
これは明らかに決まった法則がないとうことや、価格の変化が独立していることに矛盾しています。
価格の変化が真に独立したものであるのなら、幾度もトレンドというものは起きないはずです。
ランダムウォーク理論は金融工学などでも用いられますが、実際に金融工学的な知識を取り入れてトレードしたら勝てるのか?といえば必ずしもそうとは限りません。
なぜなら金融工学はあくまでもリスクを計量するために生まれた学問だからです。
いかにして勝つか?稼ぐか?を主題にした領域ではありません。
そして金融工学的なお話が全て正しいのだとすればあのリーマンショックはどのように説明するのでしょうか?
もちろん、ランダムウォーク理論を頭からすべて否定しているわけではありません。
実際にランダムウォーク理論も参考になります。
しかし、その理論が実際の相場で使えるかどうかはまた別の話なのです。
むしろ投資の天才とも言われるウォーレンバフェットは金融工学についてこき下ろしています。
事実、ロングタームキャピタルマネジメントという高度な金融工学を用いたノーベル経済学賞受賞者を集めたチームで運用したファンドがありましたが、そのファンドはすでに破綻しています。
理論が実際の現場で使えるかどうかはまた別なのです。
過去のチャートパターンが本当に未来に出てくるとは限らない
未来を知ることは誰もできず、過去のチャートパターンがこの先に出てくるとは誰もわからない。
だから過去のチャートや価格の動きを研究するテクニカル分析は役に立たないという主張もテクニカル批判でよく聞きます。
もちろんテクニカル分析はあくまでも市場予測なので当たらないこともあります。
しかし、過去の歴史から学び未来を予測しようとする試みはそんなにも間違っていることでしょうか?
過去から学び未来を予測しようとする試みはあらゆる分野で行われています。
近年ではビックデータを基に経済やビジネスがどうなっていくのか、シュミレーションをすることも増えてきました。
しかし、この行為も、ビックデータという過去に起きたデータを収集して分析して未来を予測する手法です。
仕事の採用の現場ですら、過去の実績やその人が過去に何の仕事をやってきたのかを見ます。
そして過去の実績やスキルから自社で働けるかどうかの未来のパフォーマンスを予測して採用判断をします。
スポーツ選手の年棒も、過去の実績がこれくらいあるから、来年度このくらい活躍できるだろうという見込みで決定されます。
天気予報でも過去のデータを基に降水確率はどのくらいなのか?晴れなのか雨なのか?を予測します。
過去のデータを基に未来を予測するという行為は現代社会ではありとあらゆる場所で使われている合理的な選択肢であり、その行為自体に問題があるとは思えません。
テクニカル分析の主張は全て後付けで、リアルタイムでは役に立たない
テクニカル分析への批判として、テクニカル分析の主張はそのほとんどが後付けの理由であり、リアルタイムでトレードするのには役に立たないというものがあります。
この主張には真実性があります。
なぜなら、テクニカル分析はどんな分析手法を行うか?チャートのどこに線を引っ張るのか?はそのトレーダーの主観におおいに依存します。
たとえプロのトレーダーだとしても同じチャート画面を見ていても全く異なることを考えている、分析していることがよくあります。
主観に大きく依存するからこそ、経験を積まなくては他の人がやったときの再現性が担保されないのです。
単純に手法だけであればそのほとんどが公開されており、誰にでもできますが、リアルタイムで起こる相場状況にたいして適切な分析手法で行動できるか?分析できるか?となると、途端にトレーダーの主観に依存し始めます。
主観に依存し再現性が担保されないため、テクニカル分析の全てが後付けの説明のように思えてしまうのです。
これがファンダメンタルズ分析であれば、解法は基本的に1つしかありません。
金融緩和が起これば為替は動きますし、株であれば会社の売上や純利益が大きく出れば買われます。
ファンダメンタルズは原因に着目して分析するため、誰もが納得できる分析結果を用意できます。
そのため、ファンダメンタルズ分析に対して後付けで役に立たないという批判は起こらないからです。
テクニカル分析に対するこの批判に対して反論することは不可能です。
先ほども述べたように、同じテクニカル分析を行っていたとしても各々が大きく主観に依存してトレードしており、解法が無数にあるため後付けでないことの証明をすることは不可能です。
テクニカル分析を行ったとしても、各々がやっているテクニカル分析の中身は異なります。
しかし、だからといってリアルタイムで全く役に立たないということはありません。
なぜなら、投資家心理によって相場が動くからです。
ファンダメンタルズであろうが、テクニカルだろうが、買われ過ぎと判断されれば売られるし、売られ過ぎと判断されれば買われます。
従って投資家心理を研究したテクニカル分析が全く有効では無いということではないのです。
自動売買システムなどのシステムトレードをする場合、テクニカル分析は必要か?
最近はアルゴリズムが市場に入ってきてマーケットでもすっかりなじみぶかいものになりました。
個人でも自動売買によるシステムトレードをする人が増えてきた印象を受けます。
そこで、最後に自動売買システムなどのシステムトレードにおいて、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などの市場予測は必要あるのか?について考えてみましょう。
自動売買システムは人間心理に基づかない機械的なトレードがウリとなっています。
そのためテクニカル分析やファンダメンタルズ分析は必要ない、完全放置でも良いように思えますが、市場分析をしないよりかは絶対にやったほうがいいといえます。
もちろん、市場分析をしなくても投資することはできます。
しかし、現状マーケットに入っているアルゴリズムはずっとつけっぱなしというものではなく、付けるか付けないかは人間の判断に基づいて行われています。
なぜなら、大抵のアルゴリズムは平時に活用することを想定してできているため、相場が荒れだすと途端にシステムトレードが有効ではなくなるからです。
従って、相場が荒れているか荒れてないか、自動売買をつけるか付けないかの判断をするためにもテクニカル分析は学んだほうが良いといえます。
良い自動売買ソフトであればある程度ほったらかしでも稼げますが、それでも相場が荒れだしたりしたらポジションを決裁して止めたほうが良いといえるでしょう。
自動売買ソフトを使う場合でもテクニカル分析を学んでおいても損は一切ありません。
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