移動平均線を利用したインジケーターとして、移動平均乖離率というものがあります。移動平均乖離率とは、買われ過ぎや売られ過ぎを判断するオシレーター系のインジケーターです。
ここまで聞いて、ふと疑問がわく人もいるはずです。同じく買われ過ぎ、売られ過ぎを表すRSIと移動平均乖離率は一体何がどう違うのか?と。
RSIあるなら移動平均乖離率はいらないのではないか?と。
移動平均乖離率とRSIとは
移動平均乖離率とは
ある一定期間の終値を平均したものです。
短期の移動平均線になればなるほどローソク足と移動平均線は一致した挙動を示します。
マーケットでは需要と供給の関係で価格が決定されます。
一般的には買われ過ぎが起こるとそれを修正しようという売り圧力が発生し、売られ過ぎが起こるとそれを修正しようと買い圧力が発生します。
このようにしてローソク足が波の形を伴って移動します。
そして移動平均線は終値の平均値であるから、ローソク足は波の形を伴って次第に移動平均線へと収束していくのが自然です。
ローソク足が移動平均線の挙動に収束していくのであれば、移動平均線からどれくらい離れているのか?を見れば、現状が買われ過ぎなのか売られ過ぎなのかが分かります。
しかし、目視でどのくらい移動平均線から離れているかで買われ過ぎや売られ過ぎを判断するのは、定性的な人の感覚によるもので客観性がありません。
そこで、客観性を持たせるために、移動平均線からどのくらい離れているか?を数値化し、グラフ化したものが移動平均乖離率です。
移動平均乖離率は以下のような式で求めます。
移動平均乖離率={(為替レートー移動平均)/移動平均}×100
RSIとは
それでは、同じ買われ過ぎ、売られ過ぎを表すRSIは何を表すでしょうか?
RSIはRelative Strength Indexの略で、日本語だと相対力指数と呼ばれます。
一定期間の値幅を基にして買われ過ぎや売られ過ぎといった感覚を数値化して客観性をもたせたインジケーターです。
具体的には次のようにして求めます。
RSI=(N日間における上昇した値幅/N日間における上下に動いた値幅の合計)×100(%)
最も一般的な基本設定では、N=14として利用されます。
移動平均乖離率とRSIの相違点
ここからが本題です。
移動平均乖離率とRSI、何がどう違うのでしょうか?
百聞は一見に如かずということで、RSIと移動平均乖離率を同時に表示させてみました。
どちらも期間を14日にそろえて同時に表示させた1分足のドル円チャートです。
下半分の上段がRSI、下段が移動平均乖離率です。 見てわかる通りほぼ同じ挙動をしていることがわかると思います。
RSIと移動平均乖離率の間には、本質的には何を基にテクニカル分析をしているのかという違いしかありません。
移動平均乖離率は移動平均線からどのくらい離れているのかを、RSIでは値幅を基に作られています。
だからこそほぼ同じ挙動をするのです。
ただし、明確異なる点も存在します。
例えば上記の画像で移動平均乖離率の単位に注目してみてください。
上の単位は0.100となっています。
しかし、このチャートを月足に変えてみるとどうなるでしょうか?
移動平均乖離率の単位が20.000と変化しました。
移動平均乖離率の単位には上限がありません。
あくまでも移動平均線とどれくらい離れているのか?を表しているため、移動平均線から大きな乖離が起これば起こるほど、その数値は上がっていきます。
一方でRSIは上限が100%、下限が0%と決まっている百分率です。
そのため、チャートの期間を長くとっても右端の単位が変化することはありません。
RSIが0%ということは、ある期間中投資家が全員売りをいれて、一度も買いが入らなかったことを意味します。
逆にRSIが100%ということは、ある期間で投資家が全員買いを入れて、一度も売りが入らなかったことを意味します。
だから、RSIが200%や0%以下になることはありえないのです。
どれも本質的には買われ過ぎ、売られ過ぎを表しているのでほとんど変わらない挙動を示します。
従って、どちらのインジケーターでなければ絶対に使えないということは無いのです。
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