巷には様々なインジケーターが存在しますが、その中でも一目均衡表はひときわ異彩を放っています。
というのも、どのテクニカル分析でも既に終わった相場のことを表示しているのでいくらでも後付けできるように見えてしまいます。
その一方で、一目均衡表は異なります。
一目均衡表の最大の特徴は何といってもチャート図に未来の予測が直接書かれていることです。
一目均衡表と聞くと、なんだかわかりにくそうだし見た目も難しそう、複雑そうで、チャートに表示させてみるとごちゃごちゃしているように見えますが、これから起こると予測されることがチャートに直接書かれるということは裁量トレーダーにとって大きな助けになることでしょう。
一目均衡表とは何か?
一目均衡表の特徴
一目均衡表は昭和時代にできた日本生まれのチャート分析方法で、世界でも使われている分析方法です。
為替レートは買いと売りとの需給の関係で動きますが、その均衡を一目で見てわかることから一目均衡表といいます。
一目均衡表は未来の動きを視覚化できるのが最大の特徴です。
一目均衡表はチャートに表示されているローソク足をベースとして以下のものから構成されています。
・転換線
・基準線
・先行スパン1
・先行スパン2
・雲
・遅行線
このうち転換線と基準線はリアルタイムで同時に表示されますが、先行スパン1、先行スパン2、雲についてはローソク足が表示されていない未来に表示されます。
そして遅行線については、既に取引が終わっている過去に遅れて表示され始めます。
通常のテクニカル分析では今現在に焦点を当てて分析を行いますが、一目均衡表では今現在だけでなく未来と過去についても焦点を当てて分析を行うテクニカル分析手法なのです。
一目均衡表の求め方
転換線と基準線は次の式から求められます。
転換線=(当日を含んだ過去9日間の高値+安値)/2
基準線=(当日を含んだ過去26日間の高値+安値)/2
これらの転換線と基準線が一目均衡表のベースとなります。
次に先行スパン1、先行スパン2、雲について見ていきます。
先行スパン1と先行スパン2は次の式で求めることができます。
先行スパン1=(転換線+基準線)/2
先行スパン2=(52日間の高値+安値)/2
先行スパン1と先行スパン2を26日分先のチャート上に表示させます。
これによりチャート上に未来の予測を視覚的に表示させます。
先行スパン1と先行スパン2の間を雲と呼び、表示するチャートにもよりますがこの雲は色で塗りつぶされて表示されています。
最後に遅行線について見ていきましょう。
遅行線とは次のようになっています。
遅行線=当日の終値を26日前の位置に記載した線
遅行線は名前の通り過去のチャート図に遅れて表示されていく線のことです。
一目均衡表はどのように使うのか?売買タイミングの見方について解説
一目均衡表は現在、未来、そして過去に焦点を当てて分析をすることができるテクニカル分析手法です。
現在に焦点を当てた分析手法
基準線と転換線が一目均衡表のベースとなるもので、これが為替レートの値に沿った位置で推移していきます。
基準線は名前の通り相場そのものの基準としてとらえられており、これを基準に以下のように分析を行うことができます。
・基準線が上向きで、基準線の上にローソク足がある場合、買いと売りの均衡は買いが強い
・基準線が下向きで、基準線の下にローソク足がある場合、買いと売りの均衡は売りが強い
転換線はトレンドの転換を表す役割をしています。
基準線と転換線を利用して移動平均線のように売買タイミングのシグナルを分析することができます。
・転換線が基準線を下から上に突き抜けるゴールデンクロスで買いシグナル
・転換線が基準線を上から下に突き抜けるデッドクロスで売りシグナル
また、現在の値動きと現在の雲の位置取りから以下のことがわかります。
・ローソク足が雲の上で推移していれば上昇トレンドであり、雲がサポートラインとして機能
・ローソク足が雲の下で推移していれば下落トレンドであり、雲がレジスタンスラインにとして機能
・ローソク足が雲を突き抜けて動く場合、トレンドが転換する
過去に焦点を当てた分析手法
一目均衡表には遅行線という過去の相場に遅れて出てくる線が存在します。
遅行線は現在の終値を過去に表示したもので、この遅行線と過去のローソク足を見て売買シグナルを決めることができます。
実際の相場では、現在に焦点を当てた分析手法では出てこない売買シグナルが遅行線に出てくることがあるので、現在の値だけにとらわれずに未来と過去についても見ていく必要があります。
遅行線を使った際の売買タイミングは以下の通りです。
・遅行線がローソク足を下から上にゴールデンクロスする場合買いのシグナル
・遅行線がローソク足を上から下にデッドクロスする場合売りのシグナル
未来に焦点を当てた分析手法
雲は先行スパンによって形成されています。
先行スパンは過去の値動きを未来に表示させてできてきます。
従って雲の大きさは過去の値動きの大きさととらえることができます。
そして雲はサポートラインやレジスタンスラインの役割も示すことから今後の上値や下値のめどにもなります。
その他にも雲には次のような性質もあります。
・相場の動きが急な場合、雲が厚く抵抗力は強い
・相場の動きが緩やかな場合、雲が薄く抵抗力は低い
これらのことから先行に表示される雲の形状によって今後どのように動くかを予測することができます。
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